愛犬ペタの「困った」 犬の行動学

犬をほめる ~ほめられると犬はどう変わるのか~

2018/06/29


こんにちは。編集長のミッキーです。

飼い主にとって犬の問題行動は深刻です。
我が家の愛犬ペタは他犬に吠えるチンピラ犬(笑)で、自宅の庭が接する遊歩道を散歩する犬にフェンス越しに吠えて困っています。
散歩中はさらに大変。相性が悪い犬と会うと瞬時に興奮のボルテージが上がり、ひどく吠えます。リードや体を使って何とかその場を離れるのが精一杯です。

元保護犬のペタが我が家にやってきたのは今から2年半前のこと。何とか「吠え癖」を治そうと懸命にいろんなトレーニングにチャレンジしてきました。その甲斐あってマシにはなりましたが、まだまだ「リハビリ」継続中です。

ペタはちょっと興奮すると私のことを見なくなります。私より他のことが気になっています。散歩に出ると、私のことが目に入らず、犬やバスや鳥ばかりに気が行ってしまいます。プロのアドバイスをもらいながら、タグプレイにもチャレンジ。ペタにとって私が魅力のある存在になるためのトレーニングです。狙いは明確ですが、まさに一進一退のゆっくりとした歩みでした。

そんな中、まさに目からうろこの実体験がありました。デンマークの動物行動学者 ヴィベケ・リーセさんのセミナーで、直接指導を受けました。

ヴィベケさん、すごい。
ペタが変わった「犬をほめる」効果をご紹介します。

犬をリスペクトする?

犬の行動学

今回の内容は、私が2018年3月24日・25日に受講したヴィベケ・リーセ氏のセミナーで学んだことをもとにしています。

ヴィベケさんは世界的に有名なデンマーク人の動物行動学者です。行動学の研究対象は犬だけでなく、オオカミやキツネにも及び、その幅広い見地から犬との暮らし方をわかりやすく解説しています。

ヴィベケさんは、本や講習で「犬をリスペクトする」という言葉をよく使います。犬の気持ちを理解して尊重することが彼女のトレーニングのベースにあります。私には「犬がかわいい」「仲良く暮らしたい」という気持ちはあっても、「犬をリスペクトする」という意識がなかったので、初めて聞いた時は少々驚きました。

ヨーロッパで、人が犬と幸せに暮らすための法令や慣習が整っていることはよく耳にします。それはきっと犬や動物を心から大切に思い、人生のパートナーとしてリスペクトするという精神文化が具現化されたものなのでしょう。

今回、私が犬と人間を対等に考えるというスタートラインに立てたことはとても重要であり、それによって飼い主として自分に足りないことがたくさん見えてきました。

特に「犬をほめると犬はどう変わるのか」を、わずか2日間で体験できたことは大きな収穫でした。

ヴィベケさん す、すごー!

今回はペタを連れて参加できるセミナーでしたので、実践を交えて「犬のほめ方」について多くの体験ができました。

まず、びっくりしたのは初日の実践でのこと。
ペタは他犬に吠えるので、このようなセミナーでも大変に気を使います。他の受講者の犬からなるべく遠ざけ、気をそらすように心がけますが、なかなか制御できずセミナー会場でヒャーヒャーと興奮させてしまいました。

それを見た講師のヴィベケさんが近づいてきてペタのリードを持ちます。そして会場内を歩きました。すると驚くことに、ペタは落ち着きを取り戻してヴィベケさんの横について歩いているではありませんか。

ど、どこの犬じゃ~?
まるで魔法を見ているようでした。

余談ですが、私は以前からカリスマドッグトレーナー・シーザーのテレビ番組を録画して観ています。シーザーが依頼者の家へ行き、問題犬のリードを持って正すと数十秒で犬が吠えなくなったり、リードを引っ張らなくなったりするのを何度も観ています。私はそれを観て「目の前で見たら盗むことができるのになー。シーザーがうちにも来てくれたらなあ。」とずっと思っていました。

なんと、そのシーンを目の前で見ることができたのです。
しかも、ヴィベケさんは自分が何をしたかを解説してくれます。

私のテンションは一瞬で上がり、教えてもらったことを懸命にやってみることができました。そして、2日間のセミナーの間にペタの様子が変わったのです。

ペタをキッチリほめてみると・・・

目の前で見ると納得するものですねー。

私は狂ったように(笑)、ペタをほめました。
アハハ、「狂ったように」はちょっと言い過ぎですが、これまでの私とは比べものにならないくらい、ペタに対するアプローチを変えてみることができたということです。

セミナーの冒頭でヴィベケさんから、今回は「犬をほめる」ことを学んでくださいと説明がありました。その際に、大げさにほめてねと言われました。犬を大げさにほめるってなかなか難しいですよね。それを理解しているヴィベケさんは冗談交じりに「Be crazy.」という表現を使い、周りの人から「あの人おかしいんじゃない?」と思われるくらい犬をほめてねと言いました。ヴィベケさんが身振り手振りで楽しく教えてくれたので、私もすんなりとチャレンジすることができたと思います。

具体的に、私がペタに何をしたかをご紹介します。
まず、ペタの様子を凝視し、しっかり状態を把握しました。目を凝らすようにペタの動きに注目すると、落ち着いているか、私を意識しているか、何かに気を取られているか、などがわかります。そして、ペタが少しでも私に寄って来たり、チラ見したら、それを思いっきりほめます。不思議なことに、私がペタをキッチリほめると、ペタは私を意識し、チラ見の回数が増えたりします。そこで私は続けてほめてあげます。ここがとても大事です。ペタの状態に問題がなければほめ続けます。普段なら、ほめるべき行動を取った瞬間しかほめませんが、とにかくほめ続けます。悪くなる(離れていく、他に犬の気を取られるなど)まで、ほめ続けました。

ほめ方にも注意しました。ほめる言葉に「グッ、ボーイ(Good boy!)」を選びましたので、事前にヴィベケさんと練習をしました。しっかりと大きな声で先頭にアクセントをつけて言うように心がけました。
最初は抵抗がありましたが、何度も言うと当たり前に言えるようになりました。(ヴィベケさんに対する信頼も大きかったです。)

私が犬のことをしっかり見て、キッチリほめるだけで犬の態度が変わったのです。一番ビックリしたのは、もちろん私です。
これまでの2年以上にわたるトレーニングと比べると、「たったこれだけのこと」としか思えません。

たったこれだけのことをしただけでペタが私を意識し、わずかではあっても信頼が深まるのを感じることができたのです。

本当に驚きましたし、うれしかったです。

まさに「犬は飼い主次第」という教えを実体験で味わいました。

セミナー以降のペタは?

うれしかったので、それからもずっとやっています。
室内でも、庭でも、散歩中でもやっています。ペタの状態はさらに良くなり、以前より落ち着いている時間がすごく増えました。

と言っても、本当の魔法をかける訳ではありませんので、相変わらず他犬には反応しますし、相性の悪い犬にはガンガン吠えます。でも、今朝(セミナーから1週間経過)の散歩でも明らかにこれまでとの差が感じられました。反応はするけどスッとよそを向いたり、じーっと見るだけでそれ以上向かって行かなかったり、かなりの変化です。

もちろん、その時も目いっぱいほめます。犬はほめられると、これは良い行動なんだと理解し、そうするようになります。

いつも公園で会う他犬の飼い主さんから「今日は落ち着いてますね。」と言ってもらえました。うれしいー。

少しずつではありますが、すぐにわかる変化ですので、同じような問題で悩んでいる人には役に立つと思います。

ヴィベケさんから、おやつを使った遊びも教えてもらったので、それも毎日やっています。こちらも手ごたえがありますので、改めてレポートします。

私が感じた「ほめる意味」

私はもともと人も犬もほめるのが苦手(笑)。男性にはそのような人が多いかもしれません。

犬が良い行動を取った時にはほめなさいと言われていたので、心掛けていました。
しかし、何のために、どのタイミングで、どれくらいほめたらいいのかを全く理解していませんでした。

「来い」と言ってちゃんと来たら「よし!えらいぞー。」と1回ほめるだけでした。
「犬に私の言うことを聞かせる」という意識が強かったと振り返って思います。

今回の経験で私なりにほめる意味を考えてみました。
「私はちゃんと君のことを見てるよ。」
「穏やかで楽しそうにしている君を見るのはとてもうれしい。」
「こんな風に私は君と暮らしていきたい。」
「これからもずっと一緒にいるよ。」
人間の言葉がわからない愛犬に対して、そんな気持ちを伝える手段がほめるという行動だと思います。

ウ、ヤバい。犬の十戒を思い出して、少し涙ぐんでしまった。(笑)

人間もほめられることで成長すると言われています。ほめられることで行動の基準が形成され、良い行動が増えていくということなのでしょうね。

犬との勉強は、とても深くて大切なことを私たちに教えてくれます。

ヴィベケ・リーセ氏(動物行動学者)

1963年デンマーク・オールボー生まれ。世界の第一線で活躍している動物行動学(メインは犬)のスペシャリスト。

高校卒業後、オールボー動物園に4年間勤務。主に大型肉食獣の担当飼育係を経て、動物行動学者ロジャー・アプランテス、動物行動学協会にて教育を受ける。結婚後、アメリカに出向き、狼の行動について独学で学ぶ。スウェーデン、ノルウェーで狼の行動について教鞭をとる。

その後、オペラント条件付けに基づいた動物訓練者で世界的に有名なアメリカのボブ・ベイリーのもとで、学習心理の理論習得と実践について修行。2014年まで半家畜化したギンギツネを二頭飼い、犬との行動の違いを観察。

日本では2011年から、犬の仕草(ボディーランゲージ)についての解説本を5冊、DVDブックを1冊出版。また、2013年から2年連続でトレーナーに向けてのセミナーを東京にて開催。その反響の大きさから、2015年より「JAPANツアー」を開始。2016 年からは、「アカデミックプログラム」を新たに追加し、ヴィベケ理論(RPTM)をさらに熱く、そして深く展開している。

トレーニング施設「WanUnity(ワンユニティ)」

私が受講したヴィベケ・リーセ氏のセミナーは大阪のトレーニング施設「WanUnity(ワンユニティ)」で開催されました。

〒553-0001
大阪市福島区海老江8-16
最寄り駅:阪神淀川駅(徒歩2分)
最寄インター:阪神高速神戸3号線 海老江インター
駐車場:有り
TEL 06-6346-3117
Web http://wanunity.com/